刀と刀鍛治

「日本刀」をご覧になったことや、手にされたことはありますか?
そして、どんな印象をお持ちでしょうか
時代劇で観るチャンバラのイメージ・・・
竹なんかをすぱっと切る居合い・・・
美術館や博物館に展示された貴重な御刀・・・
外国の方々には日本の象徴ともいうべき「日本刀」ですが、身近な存在であるという方は少ないかと思います
現代では刀は美術品であり、「鑑賞するもの」として存在しています
けれども、武士の時代には「刀を持つ」ということは「責任を持つ」ということでした
大人になって元服し、武器である刀を常に帯刀しているという責任
それだけに、「刀を抜く」ということは簡単にあってはいけないことであったといいます
「刀を持つ」「刀を与えられる」
それは日本人にとっては、とても特別なこと
「鑑賞するもの」となった今でも「日本刀」の底には、そういうものが存在しています
そして、使うものとしての一面
もちろん、武器として使うということは、もうありません
しかし、刀は現代でも、きちんと強度を備えつつ、美しくつくられます
まさに「用の美」というにふさわしい存在です
また、鑑賞するものとしても、とても奥深いものです
一振の刀のなかに、見える景色
素晴らしい刀は、ずっと観ていても飽きることがありません
たいへん魅力的な存在です
この時代に、必然のような、偶然のような出会いで、私は「刀鍛冶」という職業につきました
火とたわむれ、鋼(はがね)と向き合い、一振の刀を打ちます
それは、私にとって大切な時間です
そして、「刀」を真ん中に出会いがあることが、とても嬉しいことです
布都正崇